外国人介護士の離職理由とは?施設が押さえる7つの原因と定着支援の実践策

「採用した外国人介護士が3ヶ月で辞めてしまった」「何が不満だったのか、本音を聞き出せないまま退職届を受け取った」というご相談は、弊社ユアブライトの人材紹介の現場で繰り返し耳にします。

外国人介護士 離職理由として最初に思い浮かぶのは「日本語が通じなかったから」という言語の問題かもしれません。しかし実際には、言語はあくまで7つある主な離職要因のひとつに過ぎません。施設側のマネジメントや環境整備が不十分であることが引き金になるケースのほうが、むしろ多いのが実態です。

公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」によると、介護職員全体の離職率は約14.4%であり、全産業平均を上回る水準が続いています。外国人介護士の場合、入職後1年以内の離職リスクが特に高く、採用・受入れに費やした費用と時間が繰り返し無駄になるという構造的な問題を抱えます。

この記事では、外国人介護士が施設を離れる主な7つの理由を、弊社の紹介実績と現場取材をもとに整理します。そのうえで、施設長・人事担当者が今日から取り組める定着支援の実践策をお伝えします。

この記事でわかること

  • 外国人介護士の離職理由として現場で確認されている7つの主な要因と発生メカニズム
  • 離職サインを早期に察知するためのチェックポイント
  • 定着率を高めるために施設がすぐに着手できるマネジメントの実践策

外国人介護士の離職をめぐる現状:数字が示す課題の深さ

2026年5月時点で、特定技能「介護」の在留者数は6万人規模に達しています(出入国在留管理庁)。特定技能介護の制度と受入れの全体像でも解説しているとおり、受入れ施設が急増するなかで、採用後の定着率が業界全体の喫緊の課題として浮上しています。

介護業界全体の離職率は約14.4%(公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」)ですが、外国人介護士の場合はこれに加えて在留資格に関連する雇用継続リスクや、言語・文化・生活環境への適応の難しさが重なります。弊社が外国人介護士への個別の聞き取りを継続するなかで得られた知見では、入職後3ヶ月以内が最もストレスが高まりやすく、離職意向が顕在化しやすい時期であることが繰り返し確認されています。

受入れコストの観点から見ても、この問題は無視できません。外国人介護士の受入れ費用の内訳でも示しているとおり、紹介手数料・在留資格申請費・登録支援機関への委託費を合計すると、1名の採用に数十万円規模の初期投資が発生します。離職が繰り返されるたびにその投資が積み重なる構造が、施設経営に深刻な影響を与えます。だからこそ、離職の根本原因を理解し、定着支援に先手を打つことが経営上の優先課題です。

また、介護業界の人手不足の現状でも触れているように、2040年に向けて介護人材の需給ギャップはさらに拡大すると推計されています。外国人介護士の定着率改善は、単なるコスト問題ではなく、施設の存続に関わる戦略的な取り組みです。

離職理由1:言語の壁と「伝わらない」ストレスの蓄積

外国人介護士が最初に直面する困難として必ず挙がるのが、日本語によるコミュニケーションの壁です。ただし、問題の本質は「日本語力の不足」という単純な話ではありません。

入職時にN3相当以上の日本語能力を持つ人材であっても、介護現場に特有の専門用語(「褥瘡(じょくそう)」「尿漏れパッド」「在宅復帰」など)や、暗黙のルールに基づいた申し送りのニュアンスを正確に読み取るには相当な時間がかかります。「言いたいことがあるのに、正確に伝えられない」という日々のストレスが積み重なり、「この施設では自分は成長できない」という閉塞感につながるケースが多くあります。

さらに深刻なのは、外国人介護士が「困っている」というサインを発していても、施設側がそれを見逃してしまう状況です。日本語でのコミュニケーションに自信がない段階では、問題を声に上げること自体が難しく、黙ってストレスを抱え込んだまま突然の退職届につながることがあります。

外国人介護士とのコミュニケーション構築の記事でより詳しく解説していますが、現場で効果を上げているのは、週次の個別面談を母国語対応スタッフが実施する仕組みや、申し送りノートにイラストや写真を組み合わせて情報の取りこぼしを防ぐ工夫などです。コミュニケーションの設計を施設側が主導することが、この離職リスクを大きく下げます。

離職理由2:給与・待遇・キャリアパスへの不透明さ

「日本で働けばキャリアアップできる」「日本の介護現場で技術と資格を身につけたい」という明確な目標を持って来日した外国人介護士が、入職後に「思っていたのと違う」と感じる場面が多くあります。その背景にあるのが、給与水準とキャリアパスの見通しが事前に十分共有されていないという問題です。

給与・待遇面でよく聞かれる不満

  • 残業代・夜勤手当の計算方法が不明確で、毎月の支給額がなぜその金額なのか理解できない。
  • 日本人スタッフとの給与差を感じ、同じ業務をしているのになぜ差が生じるのか納得できない。
  • 来日前に説明された想定手取り額と実際の手取りが異なり、母国への送金計画が立てられない。

キャリアパスへの不安

  • 特定技能「介護」の在留期間(通算最大5年)の後、どうなるのかが施設から説明されていない。
  • 介護福祉士(国家資格)の受験を視野に入れているが、施設がどう支援してくれるのかわからない。
  • 「頑張っても評価が変わらない」という閉塞感が続いている。

特定技能「介護」の在留期間終了後に在留資格「介護」へ移行するためには、介護福祉士国家資格の取得が要件となります(出入国在留管理庁)。この資格取得を施設がどう支援するかが、長期定着に直結します。資格取得支援を明示的に福利厚生に組み込んでいる施設は、外国人介護士の定着率が高い傾向があることが弊社の支援経験からも確認されています。

離職理由3:職場の人間関係と文化的な摩擦

公益財団法人 介護労働安定センターの調査において、日本人介護職員の離職理由でも上位に入るのが「職場の人間関係」です。外国人介護士の場合、これに文化的・価値観の違いから生まれる誤解が加わります。

弊社がサポートしてきた施設の事例では、以下のような摩擦が繰り返し確認されています。

直接的な表現が「生意気」と受け取られる

ベトナムやネパールの職場文化では、問題点を率直に指摘することが「信頼の証」として機能します。日本の介護現場では、これが「目上への失礼」と受け取られ、本人が意図しない摩擦を生む原因になることがあります。

挨拶・敬語のルールへの戸惑い

日本特有の敬語体系や、上司・先輩への細かな礼儀作法は、直感的に習得できるものではありません。意図せず失礼な印象を与えてしまうことで、日本人スタッフとの関係がぎこちなくなるケースがあります。

宗教的な配慮が難しい環境

ムスリムのインドネシア人介護士が礼拝時間の確保を求めたい場面で、施設がその必要性を把握しておらず、シフト調整が進まないまま孤立感を深めるケースがあります。

これらの摩擦は外国人介護士の問題ではなく、施設側が文化的背景への理解を深めることで大半は解消できる課題です。受入れ前の準備として、日本人スタッフへの異文化理解研修を実施している施設では、入職後の衝突が明らかに減少していることが確認されています。

離職理由4:生活面のサポート不足と孤独感の蓄積

外国人介護士は職場だけでなく、生活のすべてを日本語と日本の制度のなかで対応しなければなりません。医療機関の受診・銀行口座の開設・公共料金の手続きなど、日常のひとつひとつが大きな壁になります。

生活面で特に困る場面

  • 体調不良のとき、どの医療機関に行けばよいかわからず、日本語で症状を説明することもできない。
  • 賃貸契約の更新手続きや保証人制度の仕組みが理解できない。
  • 年金・健康保険の仕組みが複雑で、毎月の控除額への疑問を誰に聞けばよいかわからない。
  • 休日に頼れる人間関係がなく、孤独感が蓄積する。

特に地方の施設では、外国人コミュニティが薄く、同じ国籍の知人を見つけること自体が難しい環境があります。「仕事は頑張りたいが、仕事以外の時間がつらい」という精神的な消耗が離職の遠因となるケースが少なくありません。

外国人介護士の受入れの全体像でも解説しているように、特定技能の場合は登録支援機関が生活支援を担いますが、支援の質と頻度は機関によって大きく異なります。施設側が積極的に生活面のサポート体制の内容を確認し、必要に応じて補完する姿勢が求められます。

離職理由5:在留資格への不安と法的リスクへの恐れ

外国人介護士にとって、在留資格の維持は生活の根幹に関わる問題です。在留期限・更新手続き・転職時の資格変更など、法的な手続きへの不安が心理的な重荷となり、離職判断に影響するケースがあります。

特定技能「介護」の在留者は、雇用契約が終了すると在留資格の基盤を失います。「もし施設に問題があっても、すぐに辞められない」という状況が外国人介護士を心理的に追い詰め、不当な待遇への声上げを妨げる要因にもなります。結果として、表面上は「急な退職」に見えても、実態は長期間にわたって不満や不安を内側に抱えていたケースが多くあります。

厚生労働省の外国人介護士受入れに関するガイドラインでも、雇用条件の書面明示・相談窓口の整備・在留資格申請の適切なサポートが施設の取組事項として示されています。こうした法的サポートを施設が率先して提供することが、外国人介護士の安心感と定着に直結します。

離職理由6:評価・承認の欠如が引き起こすモチベーション低下

外国人介護士のモチベーション管理において、日本の職場文化特有の「空気を読んでもらう」スタイルが機能しないケースがあります。「頑張りが見えているはずだ」と施設側が思っていても、本人には評価されているという実感が届いていないことが多くあります。

多くの外国人介護士が出身する国では、「良い仕事をしたら明示的に褒める」ことが職場文化の基本です。日本の職場では「問題がなければ認めている」という暗黙の前提がありますが、外国人介護士にはこの暗黙の承認は伝わりません。日常的な感謝の言葉、定期的な評価面談での具体的なフィードバック、小さな成果への明示的な承認が、モチベーションと定着に大きく影響します。

離職理由7:施設内での孤立と「仲間がいない」という感覚

日本人スタッフが多数を占める職場で、外国人介護士が「自分だけ違う」という孤立感を感じることがあります。休憩室での会話に入りにくい、歓送迎会などの非公式な交流からなんとなく外れてしまう、相談できる先輩がいない、といった状況が積み重なります。

この孤立感は、業務上のパフォーマンスにも影響します。困ったことを誰にも言えず、小さなミスが発覚するまで一人で抱えてしまうという悪循環が生まれます。受入れ初期に同じ国籍・地域の先輩スタッフをメンターとして繋ぐ仕組みや、施設が意図的に「交流の場」をつくることが有効な対策です。

定着率を高めるために施設が今すぐ取り組む実践策

ここまで見てきた7つの離職理由は、いずれも事後対応ではなく、受入れ前からの設計によって大幅に軽減できます。以下に、実効性の高い定着支援策を整理します。

受入れ前:期待値の明確なすり合わせ

内定後・入職前に、給与体系・キャリアパス・資格取得支援の具体的な内容を、本人の母国語で書面化して共有します。「思っていたのと違う」という離職理由の多くは、この段階の丁寧な情報共有によって防ぐことができます。

入職直後:最初の3ヶ月を集中サポート

  • 週次の個別面談を実施する(母国語対応スタッフが担当できれば理想的です)。
  • 業務マニュアルにふりがな・イラストを加え、専門用語の習得を段階的に支援する。
  • 日本人スタッフへの異文化理解研修を受入れ前に実施し、摩擦の予防線を張る。

継続的なキャリア支援

  • 介護福祉士国家資格の受験に向けた学習支援制度を就業規則・雇用契約書に明文化する。
  • 定期的な評価面談で「成長している実感」を言語化して本人に伝える。
  • 表彰・感謝の言葉を日常的かつ明示的に伝える。外国人介護士の多くは「察してもらう」文化に慣れていないため、言語化された承認が重要です。

生活面の支援体制の整備

  • 医療機関・行政手続きにおける通訳サポートを手配できる仕組みをつくる。
  • 同じ国籍・地域の先輩スタッフをメンターとして積極的に繋ぐ。
  • 施設が意図的に「仕事外のつながりの場」を設ける(例:同じ生活圏の外国人スタッフのSNSグループ、寮の環境整備など)。

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ともにケアを運営するユアブライト株式会社では、ベトナム語・ネパール語・インドネシア語・ミャンマー語に対応した母国語スタッフが入社後のフォローアップ面談を担当します。17万人超の在日外国人データベースから、貴施設の状況に合った人材をご紹介する完全成功報酬型サービスです。初期費用・運用費用は0円から、内定時のみ費用が発生する仕組みです。

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よくある質問

Q. 外国人介護士が最も離職しやすい時期はいつですか?

入職後3ヶ月以内が最もリスクが高い時期です。言語・業務・生活のすべての面で適応ストレスが重なるこの期間に、集中的なサポートを行うことが定着率向上の鍵となります。弊社の支援では、この時期に月2回以上の個別面談を設けている施設で、離職率が顕著に改善する事例が多く確認されています。

Q. 日本語がN3以上あれば定着しやすいですか?

日本語レベルは定着の必要条件のひとつですが、十分条件ではありません。N3相当の日本語力があっても、職場の人間関係・待遇への不満・生活面の孤立感が解消されなければ離職につながります。日本語力と並行して、施設側の受入れ体制が整っているかどうかが定着率を左右する最大の要因です。

Q. 退職した外国人介護士の本音を聞き出すにはどうすればよいですか?

退職面談を日本人上司のみで実施するだけでは、本音を引き出すことが難しいケースが多くあります。外国人介護士が信頼している第三者(母国語スタッフ・登録支援機関の担当者など)が面談に同席するか、退職後に匿名アンケートを実施する方法が有効です。離職理由を可視化し、次の採用・受入れの改善に活かす仕組みをつくることが重要です。

Q. 外国人介護士の定着率を上げるために最も費用対効果が高い施策は何ですか?

弊社の支援事例から見ると、「入職後3ヶ月以内の定期面談」と「キャリアパスの明文化」が最も費用対効果の高い施策です。特別な設備投資を必要とせず、施設側のコミットメントと体制整備で実施できる一方で、定着率への影響が大きいことが確認されています。

Q. 小規模な施設でも外国人介護士の定着支援は実践できますか?

はい、実践できます。小規模施設では逆に、施設長が外国人介護士と直接関わりやすく、個別の支援がしやすいというメリットがあります。規模に関わらず大切なのは「制度を整えること」より「関係性をつくること」です。面談・承認・情報共有の3点から始めることをお勧めします。

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外国人介護士の定着支援、まず相談から始めませんか?

「離職理由はわかったが、どう対処すればよいか施設だけでは手が回らない」「そもそも受入れ後のフォローアップ体制をどう整えればよいかわからない」というご相談を多くいただきます。

ユアブライト株式会社では、人材紹介から入職後のフォローアップまでをワンストップで対応しています。貴施設の状況に合わせて受入れの流れ・費用・定着支援の進め方をご案内します。

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参考資料

  • 公益財団法人 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(https://www.kaigo-roudou.jp/)
  • 厚生労働省「外国人介護士の受入れに関する情報」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushikaigo/kaigokoureisha/gaikokujin-kaigo/)
  • 出入国在留管理庁「特定技能在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/specifiedskilledworker.html)