介護職員が初の減少!人手不足の最新データと解決策を徹底解説
介護現場で人手不足を感じている事業所の方にとって、'この先どうなるのか''何か打てる手はあるのか'と不安を抱える場面は多いでしょう。介護人材不足の現状を正確なデータで把握することは、今後の採用戦略や経営判断を考えるうえで欠かせません。そこで、最新の公的データをもとに介護人手不足の実態と外国人材の活用という解決策について解説します。
介護職員の不足はどれくらい深刻?
2023年度の介護職員数は約212.6万人で、介護保険制度の開始以来初めて前年比で約2.8万人の減少を記録しました。2040年度には約272万人が必要とされており、現状から約57万人の増員が求められています。一方、実際の増加ペースは年間約1万人にとどまっており、外国人材の活用を含めた抜本的な対策が急務となっています。
介護職員数はなぜ初めて減少した?
2023年度は介護業界にとって大きな転換点となりました。介護保険制度が始まって以来、増え続けてきた介護職員の数が、初めて減少に転じたのです。
介護職員数が初めて前年を下回った
厚生労働省の'第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について'(2024年7月公表)によると、2023年度の介護職員数は約212.6万人でした。前年度と比べて約2.8万人の減少です。介護保険制度が2000年にスタートして以来、介護職員の数は一貫して増加を続けてきました。そのため、この流れが途切れたという事実は、一時的な現象として見過ごせるものではないでしょう。
2040年度には約57万人の増員が必要になる
同じ資料では、2026年度に必要な介護職員数は約240万人とされています。つまり、現状から年間約6.3万人ペースで増やしていく必要があるということです。さらに、2040年度には約272万人が必要になると推計されており、現在から約57万人もの増員が求められています。一方、実際の増員ペースは年間約1万人程度にとどまっていると言われており、目標と現実の間には大きな隔たりがあります。
介護職の求人倍率はどれくらい高い?
介護人手不足の深刻さを示すもう一つの指標が、有効求人倍率です。介護職の求人倍率は、他の職種と比べて突出して高い数値を示しています。
介護職の求人倍率は全職種の約3倍
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2024年の介護サービス職の有効求人倍率は約3.9〜4.25倍です。全職種の平均が約1.16〜1.20倍であることを考えると、その差は歴然としています。介護の現場では1人の求職者に対して約4件の求人が存在している計算になるでしょう。そのため、事業所側からすれば、求人を出しても応募者が集まらない状況が常態化していると言われています。
大都市圏では5.91倍に達する地域もある
さらに注目すべきは地域格差です。大都市圏では有効求人倍率が5.91倍に達する地域も存在します。都市部は生活コストが高い一方で、介護職の給与水準が他の産業ほど高くないため、人材が他の業種に流れやすいという構造的な問題を抱えています。地方でも若い世代の人口が少ないため、採用の難しさは全国共通の課題となっているでしょう。
離職率が改善しても人手不足が続くのはなぜ?
離職率のデータを見ると、実は改善傾向にあります。しかしながら、それでも多くの事業所が人材の不足を感じているのが現実です。
離職率は過去最低の12.4%まで改善
介護労働安定センターの'令和5年度介護労働実態調査'によると、介護職員の離職率は12.4%で、過去最低を更新しました。全産業平均の離職率を下回っており、'介護職は離職率が高い'というイメージは、データ上では必ずしも正確ではありません。処遇改善の取り組みや職場環境の整備が、少しずつ成果を上げていると考えていいでしょう。
64.7%の事業所が人材不足と回答
とはいえ、同じ調査では64.7%の事業所が'人材が不足している'と回答しています。特に訪問介護員(ホームヘルパー)に関しては、81%を超える事業所が不足を訴えています。離職率が改善しても、そもそも入職者が少なければ人材は増えません。加えて、高齢化の進行によりサービスの需要は年々拡大しているため、'離職率は下がったのに人手が足りない'という状況が生まれているのです。
介護人材不足の現状を正確なデータで把握することは、今後の採用戦略や経営判断を考えるうえで欠かせません
介護職員の給与格差と経営への影響は?
人が集まらない背景には、給与水準の問題も大きく関わっています。また、人手不足が原因で経営が立ち行かなくなる事業所も増加しています。
全産業平均との給与差は依然として大きい
厚生労働省の'令和6年度介護従事者処遇状況等調査'によると、処遇改善加算を取得している事業所における介護職員の平均月給は約338,200円(常勤)です。処遇改善加算による引き上げが進んでいるものの、全産業の平均給与との間にはなお数万円規模の開きがあると言われています。そのため、賃金面での競争力が弱いままでは、他業種からの人材流入を期待することは難しいでしょう。
介護事業者の倒産件数が過去最多を更新
東京商工リサーチのデータによると、2024年の介護事業者の倒産件数は172件で、前年比40.9%増という急激な増加を見せました。休廃業・解散の件数も年々増加しており、過去最多を更新し続けています。人材が確保できなければサービスの質が低下し、利用者が離れ、経営が悪化するという負の連鎖が起きることも珍しくありません。人手不足は現場の問題であると同時に、事業の存続そのものに関わる経営課題でもあります。
特定技能介護で外国人材はどれくらい増えている?
深刻な介護人手不足を背景に、外国人材の受け入れは急速に拡大しています。特定技能'介護'の在留者数は、この数年で大きく伸びています。
特定技能介護の在留者は2年で約2倍に増加
出入国在留管理庁のデータによると、特定技能'介護'の在留者数は2023年12月末の約28,400人から、2025年10月末には約55,733人へと増加しました。わずか2年足らずで約2倍に増えた計算になるでしょう。2024年4月からの5年間の受け入れ上限目標は135,000人に設定されており、今後もこの流れは加速していくと思われます。
外国人材は不可欠な存在になりつつある
かつて外国人材の受け入れは'できれば活用したい'という位置づけでした。しかしながら、年間6.3万人の増員が必要なところに実際の増加が1万人程度という現実を見れば、外国人材なくして介護サービスを維持することは困難になりつつあります。もちろん、言語や文化の違いに対する不安を感じる事業所も少なくありません。ただし、適切な受け入れ体制を整えることで、外国人介護職員が即戦力として活躍している事例は着実に増えています。人手不足の解消に向けて、外国人材の受け入れを前向きに検討することが大切です。
まとめ
介護職員の数が初めて減少に転じた2023年度のデータは、業界全体にとって一つの警鐘と言えるでしょう。求人倍率の高止まり、給与格差、事業所の倒産増加など、介護人材不足の現状は厳しいものがあります。一方で、離職率の改善や特定技能介護を通じた外国人材の受け入れ拡大など、前向きな変化の兆しも確かに存在します。
課題の本質を正しく理解し、処遇改善や多様な人材の活用といった対策を一つひとつ積み重ねていくことで、介護業界の未来は変えていけるでしょう。現場を支えている方々の努力が報われる環境づくりに向けて、業界全体で取り組んでいくことが求められています。
よくある質問
Q. 2040年度に介護職員は何万人必要になる?
A. 厚生労働省の推計によると、2040年度に必要な介護職員数は約272万人です。2023年度の約212.6万人から約57万人の増員が求められており、年間約6.3万人ペースでの確保が必要とされています。
Q. 介護職の有効求人倍率はどれくらい?
A. 2024年時点で介護サービス職の有効求人倍率は約3.9~4.25倍であり、全職種平均の約1.16~1.20倍と比べて約3倍の水準です。大都市圏では5.91倍に達する地域も存在し、人材確保の難しさが際立っています。
Q. 介護事業所の倒産件数は増えている?
A. 東京商工リサーチのデータによると、2024年の介護事業者の倒産件数は172件で前年比40.9%増となり、過去最多を更新しました。人手不足によるサービス品質の低下が経営悪化の主な要因と考えられています。
Q. 特定技能'介護'の外国人材はどれくらい増えている?
A. 特定技能'介護'の在留者数は、2023年12月末の約28,400人から2025年10月末には約55,700人へと、わずか2年弱で約2倍に増加しました。2024年4月からの5年間で受入れ上限は135,000人に設定されています。
参考文献・出典
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