介護人材の需給ギャップとは?2040年問題で約272万人必要・施設が直面する人手不足の実態と採用対策

「採用媒体に出稿しても月に1〜2件しか応募が来ない」「ようやく採用できたのに半年で辞めてしまった」。弊社ユアブライトに施設長・人事担当者から寄せられる相談の中で、この二つは特に繰り返し耳にします。

個々の施設が感じるこの焦りは、日本全体の介護人材需給ギャップという構造的な問題の末端に位置しています。厚生労働省が2023年に公表した推計では、2040年度末に必要な介護職員数は約272万人。2022年度末の実績値(約215万人)と比較すると、約57万人の不足が生じる見込みです(厚生労働省「第9期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護職員の必要数について」)。

この記事でわかること:

  • 介護人材の需給ギャップが数字でどれだけ深刻か、2026年・2040年の区切りで何が変わるか
  • 需給ギャップを固定化させている5つの構造的要因とその優先度
  • 外国人介護士の受入れを含む、施設長・採用担当者が今すぐ動ける実務的な対応策

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介護人材の需給ギャップ、厚労省推計が示す「2段階の崖」

厚生労働省は2023年、第9期介護保険事業計画の見込み量をもとに介護職員の必要数を試算しました。この推計が施設運営にとって重要なのは、「将来の話」ではなく目前の数字として動き始めているからです。

2段階の必要数

2026年度(第10期介護保険事業計画期間)

  • 必要数: 約240万人
  • 2022年度実績との差: 約25万人の不足

2040年度(団塊ジュニア世代が後期高齢者に達する年)

  • 必要数: 約272万人
  • 2022年度実績との差: 約57万人の不足

この数字が意味するのは、今後15年間で毎年平均約3.8万人の純増が必要という計算になります。一方で介護職の有効求人倍率は全産業平均の3倍超(介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」)を常態化しており、市場原理だけでギャップが自然に埋まる状況にはありません。

もう一つ押さえておくべきは地域間格差です。都市部では家族介護者の不在・独居高齢者の増加が需要を押し上げる一方、地方では担い手となる若年人口の流出が同時に進んでいます。同一都道府県内でも市区町村ごとに需給バランスが大きく異なるため、全国平均の数字をそのまま自施設の状況に当てはめることには注意が必要です。

介護業界における人手不足の全体像 については、別記事で詳しく解説しています。

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需給ギャップを固定化させる5つの構造的要因

介護人材の需給ギャップは、一時的な景気変動ではなく複数の構造的要因が重なって生じています。施設長・採用担当者が「どこから手を打つか」を考えるうえで、各要因の性質を理解しておく必要があります。

要因1:少子化による新規参入者の母数の縮小

日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)は2000年代から一貫して縮小しており、介護職への新規参入者の母数が年々小さくなっています。医療・製造・小売など全業種が同じ候補者プールを奪い合う中、介護業界は賃金水準や職場イメージの面で不利な競争を強いられています。

要因2:高い離職率(年14.4%)が生む採用コストの慢性的な増大

介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」によると、介護職員の離職率は14.4%(2023年度)です。全産業平均と大差ないとも言えますが、介護業界は採用コストが高く育成に時間がかかるという特性があります。離職が生じるたびに現場の負担が集中し、残留職員のバーンアウトを招くという悪循環が多くの施設で観察されます。

要因3:全産業平均との賃金格差が新規参入を抑制

2024年度から介護職員等処遇改善加算の強化が進み、賃金水準は改善傾向にあります。しかし厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、依然として全産業平均との月給差が残っています。「体力的な負担が大きいのに賃金が見合わない」という認識は根強く、特に男性の新規参入を妨げる要因の一つになっています。

要因4:既存介護職員の高齢化と大量退職リスク

現役の介護職員にも高齢化が進んでいます。60歳以上の介護職員が全体の20%前後を占める施設は珍しくなく、この層が退職時期を迎えると施設単位での急激な人員ロスが発生します。「ベテランが一度に2〜3人辞めた」という施設からの相談は、需給ギャップの縮図とも言えます。

要因5:要介護認定者の増加とケアの複雑化

2025年度の要介護・要支援認定者数は約715万人(厚生労働省「介護給付費等実態統計」より推計)に達し、今後も増加が見込まれます。さらに認知症ケアや医療的ケアが必要な利用者の割合が増えており、職員1人あたりの業務負荷が上昇しています。単純な「人数」の不足だけでなく、スキルを持つ人材の不足も深刻化しています。

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介護現場でよくある相談

弊社が施設長・人事担当者から受ける相談の中で、需給ギャップに直結するものを3つ紹介します。

「ハローワークと求人媒体に毎月広告を出しているが、応募が月に1〜2件しかない」

特に地方の特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護で多く聞かれます。同じエリアの競合施設が同じ候補者プールを奪い合っており、広告費を増やしても求職者の絶対数が増えるわけではありません。採用チャネルそのものを広げることが必要な段階です。

「採用できてもすぐ辞める。育成が追いつかない」

入社後3か月以内の離職は、オンボーディング・職場環境・業務の実態と事前の期待値とのミスマッチが主因です。採用の「入口」ではなく「定着の仕組み」に課題があるケースが大半です。

「外国人介護士を受け入れたいが、手続きが複雑で踏み出せない」

特定技能「介護」や在留資格「介護」に関心を持つ施設は増えていますが、手続きの複雑さや費用感の不透明さが参入障壁になっています。 特定技能介護の制度概要 を理解することが第一歩になります。

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受入れ施設の失敗パターンと回避策

外国人介護士の受入れを需給ギャップ対策として検討する施設が増える中、初期段階で陥りがちな失敗パターンがあります。

失敗パターン1:「とりあえず採用」で現場が混乱

状況: 人手不足を急いで解消しようと、受入れ体制の整備より先に採用を進めた。日本語研修・業務マニュアルの平易化・指導担当者の設定が後回しになり、既存の日本人職員に負荷が集中した。

回避策: 採用の意思決定と並行して、後述の実務チェックリストで最低3項目(日本語サポート体制・マニュアルのやさしい日本語化・担当者設定)が整ってから着任日を設定する。

失敗パターン2:費用の見積もりが甘く予算超過

状況: 紹介手数料だけを考慮し、登録支援機関への委託費(月2〜3万円 / 人)・住居サポート・在留資格申請費用(行政書士報酬5〜15万円 / 人)を計上していなかった。

回避策: 受入れ費用の内訳 を事前に整理し、初年度トータルコストで予算を組む。完全成功報酬型の人材紹介(内定時のみ費用発生)を活用すると、採用前のリスクを抑えられます。

失敗パターン3:文化的摩擦を放置して早期離職

状況: 外国人介護士が日本の職場文化(暗黙のルール・報告連絡相談の様式など)になじめず孤立し、6か月以内に退職した。

回避策: 母国語対応スタッフによる定期面談(月1回以上)と、文化的背景の違いを施設全体で理解するための研修を受入れ前に実施する。 外国人介護士の受入れ準備の流れ も参考にしてください。

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採用担当者が見落としやすいポイント

需給ギャップ対策を検討するとき、採用担当者が陥りやすい認識のズレがあります。

「特定技能介護は在留期限があるから長期雇用に向かない」という誤解

特定技能1号の在留期限は通算5年ですが、介護福祉士国家資格を取得することで在留資格「介護」への変更が可能になり、更新上限なしの長期雇用が実現します。外国人介護士を「5年限定の人材」ではなく、介護福祉士取得を支援しながら長期的に育てる仲間として位置づける施設は、定着率が高い傾向にあります。なお特定技能の受入れ基準は 出入国在留管理庁の公式情報 で随時確認することをお勧めします。

「外国人介護士の日本語は不安」という先入観

弊社のデータベース(17万人超の在日外国人)では、介護領域の候補者の多くが日本語能力試験N2相当以上の水準を持ち、申し送りや利用者対応を問題なく行えるレベルにあります。ただし正確な把握には書類確認だけでなく、面接時の口頭コミュニケーション確認が不可欠です。

「まず国内採用を尽くしてから」という先送り

国内労働市場の逼迫は今後も続きます。外国人介護士の受入れは、準備・申請・着任まで早くても3〜6か月かかります。「困ってから動く」では間に合わないケースが多く、1〜2年先の人員計画を見越して早めに準備を始めることが重要です。

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需給ギャップへの現実的な対応策と判断フロー

図解:施設長の採用前確認フロー(概念図)

以下のステップで自施設の状況を確認し、対応策を選択してください。

  1. 現状の人員充足率を確認する
  • 充足率が85%未満、または2年以内に退職見込み者がいる場合は、中期採用計画の策定へ進む
  • 充足率が90%以上であれば、四半期ごとのモニタリングを継続する
  1. 採用チャネルを選択する
  • A: 国内採用強化(求人媒体・ハローワーク・紹介会社)
  • B: 外国人介護士受入れ(特定技能・在留資格「介護」)
  • C: ICT・介護ロボット導入による業務負荷の分散
  • ※ 実際にはA・B・Cの組み合わせが最も現実的です
  1. 外国人介護士の受入れを選ぶ場合は以下のステップへ

外国人介護士の受入れを決断した場合、次の順序で進めます。

ステップ1: 在留資格の選択

  • 特定技能「介護」: 介護技能評価試験・日本語試験合格者。即戦力性が高く、受入れまでの期間が比較的短い
  • 在留資格「介護」: 介護福祉士国家資格保有者。専門性が高く、更新上限なしの長期雇用が可能
  • 技能実習「介護」修了者: 実習経験があり、特定技能1号への切り替えがスムーズ

ステップ2: 受入れ機関・支援機関の確認

特定技能外国人を受け入れる場合は、施設が登録支援機関に支援委託するか、自施設で基準を満たす必要があります。施設種別(特養・有老・グループホームなど)によって受入れ要件が異なる点にも注意が必要です。

ステップ3: 人材紹介・マッチング

候補者探しには在日外国人特化の人材紹介を活用するのが効率的です。ユアブライトでは17万人超のデータベースから、特定技能介護・在留資格「介護」の候補者を完全成功報酬型(内定時のみ費用発生)でご紹介しています。

ステップ4: 着任前の受入れ環境整備

日本語サポート体制・業務マニュアルの平易化・指導担当者の設定を着任前に完了させる。

ステップ5: 着任後の定着フォロー

3か月・6か月・1年の節目に面談を実施し、課題を早期に把握する。母国語対応スタッフによるサポートがあると、文化的摩擦の早期発見につながります。

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実務チェックリスト:施設長・採用担当者が今すぐ確認すべき7項目

需給ギャップへの対応を始める前に、自施設の状況を点検しましょう。

  • 人員充足率の把握: 現時点の常勤換算職員数が、サービス種別ごとの人員配置基準を何%上回っているかを数値で確認している
  • 2年以内の退職見込み人数: 定年退職・育児休業・健康問題など予測可能な退職リスクが整理されている
  • 外国人介護士受入れの法的要件確認: 施設種別ごとの受入れ条件を確認している( 厚生労働省の介護職員関連情報 を参照)
  • 登録支援機関の選定・見積もり取得: 月2〜3万円 / 人の委託費を含む年間コスト計算が完了している
  • 日本語サポート体制の有無: 既存職員にN2相当以上の日本語話者がいるか、または外部通訳リソースを確保できる
  • 業務マニュアルのやさしい日本語化: 申し送りシート・緊急連絡手順などの必須文書が平易な日本語で整備されている
  • 中期採用計画の文書化: 向こう2〜3年の採用目標と採用チャネルが文書化されている

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よくある質問

Q. 介護人材の需給ギャップはいつ頃ピークを迎えますか?

厚生労働省推計によると、介護職員の需要は2040年度に約272万人でピークを迎える見通しです(2026年時点では約240万人が必要とされています)。ただし介護保険制度の見直しやサービス形態の変化により推計値は改定されることがあるため、最新の数字は厚生労働省の公式ページで定期的にご確認ください。

Q. 外国人介護士は夜勤でも単独で利用者対応できますか?

着任直後から単独夜勤を担わせることは、コミュニケーション面のリスクがあるため推奨しません。弊社の紹介実績では、着任後3〜6か月は日本人職員とのペア夜勤から始め、施設内の手順と緊急時対応に慣れてから単独勤務に移行するケースがほとんどです。段階的な体制移行が、利用者の安全と外国人介護士の定着の両方を守ります。

Q. 特定技能「介護」と在留資格「介護」はどちらが施設に合いますか?

在留期間・スキル要件・採用コストが異なるため、一概にどちらとは言えません。即戦力を早期に受け入れたい場合は特定技能「介護」、介護福祉士国家資格を持つ長期雇用を想定するなら在留資格「介護」が適しています。施設の状況に応じた判断軸は、 特定技能介護の制度ページ で詳しく解説しています。

Q. 小規模施設でも外国人介護士を受け入れられますか?

小規模であること自体は受入れの障害になりません。ただし住居サポート・日本語支援などのコストが小規模施設にとって負担になるケースがあります。複数施設での共同受入れや、支援実績のある人材紹介会社との連携を検討することで、コストを抑えながら体制を整えることが可能です。

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外国人介護士の受入れを検討中ですか?

「制度はわかったが、自施設に合う人材のイメージができない」「費用感が不透明」というご相談を多くいただきます。ユアブライト株式会社では無料で相談を受け付けており、施設の状況に合わせて受入れの流れ・費用・期間・適性のある国籍をご案内します。17万人超の在日外国人データベースから、特定技能介護・在留資格「介護」の候補者を完全成功報酬型でご紹介します。

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*本記事の情報は2026年5月時点のものです。介護保険制度・在留資格制度は改定されることがあります。最新情報は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。*

ともにケア編集部
介護の現場に通い、施設長とスタッフの声をそのまま届ける取材チーム。制度よりも"温度"を大切にしています。
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