介護業界の将来性とは?2040年の需給ギャップと施設が取るべき人材確保の実務対策

「介護業界に将来性はあるか」と問われれば、需要の面では間違いなく「ある」と言えます。しかし多くの施設長が感じているように、将来性の高さと現場の人手不足は別の問題です。需要が伸びても、働き手が集まらなければ施設は機能しません。

この記事では、介護業界の将来性を数字で整理したうえで、2040年に向けた需給ギャップの実態、人手不足が深刻化する構造的な原因、そして施設長・採用担当者が今すぐ実行できる人材確保の対策を解説します。

この記事でわかること

  • 2040年の介護職員需給ギャップの実数と、施設運営への具体的な影響
  • 人手不足が解消されない3つの構造的原因
  • 外国人介護士を含む多様な採用戦略で起きる失敗パターンと回避策
  • 自施設の採用戦略を今すぐ点検できる実務チェックリスト

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介護業界の「将来性」とはどういう意味か:需要の伸びと供給の限界を同時に見る

介護業界の将来性を語るとき、「需要が伸び続ける」という事実だけが強調されがちです。しかし施設長・人事担当者にとって重要なのは、需要の伸びと、それを担う人材が確保できるかどうかをセットで理解することです。

需要サイドの根拠

日本の高齢化は2040年代に最大局面を迎えます。厚生労働省の推計によると、75歳以上の後期高齢者は2025年に約2,180万人に達し(いわゆる「2025年問題」)、2040年には約2,280万人が75歳以上になると見込まれています。介護認定者数(要支援・要介護)は2040年にかけてさらに増加し、サービス需要の拡大は避けられません。

介護給付費等実態統計(厚生労働省)によると、2023年度の介護給付費は約11兆円を超え、10年前比で約1.5倍以上に拡大しています。介護サービス市場の規模自体は確実に成長しており、業界としての将来性は数字が裏付けています。

供給サイドの現実

一方で、介護職員の数は需要の伸びに追いつけていません。現在(2025年時点)の介護職員数は約220万人前後と推計されていますが、2040年には約280万人が必要と厚生労働省は試算しています(「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」2023年7月)。自然増では賄えない不足分は約59万人から69万人。これは現在の介護職員数の30%近くに相当する規模です。

「将来性がある業界」であることと、「人材が集まる業界」であることは、現状では一致していません。施設長としての課題は、この乖離をどう埋めるかにあります。

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2040年問題:需給ギャップを施設運営の視点で読む

厚生労働省が公表した第9期介護保険事業計画の推計をもとに、需給ギャップを施設運営の視点で整理します。

図解候補:介護職員の需給ギャップ推移(2025〜2040年)

(縦軸:介護職員数(万人)、横軸:年度。「需要数」「供給見込み」「不足数」の3系列で折れ線グラフ化。施設長が経営計画に使えるよう、不足数を「10床規模施設で換算した場合の不足職員数」として注釈を付記することを想定。)

2025年時点の不足

  • 必要な介護職員数: 約243万人
  • 現実的な供給見込み数: 約220〜225万人
  • 不足数: 約18〜23万人

現在でも介護関係の有効求人倍率は全職種平均の2倍以上に達しており、訪問介護員では6〜7倍台に達することもあります(厚生労働省「一般職業紹介状況」)。

2030年時点の不足

  • 必要な介護職員数: 約261万人
  • 現実的な供給見込み数: 約215〜230万人
  • 不足数: 約31〜45万人

団塊世代が85歳前後に差し掛かり、認知症・複合疾患を抱える利用者の割合が増加します。介護の質的な需要(専門性の高い支援)も高まるため、単純な人数の確保だけでは対応が難しくなります。

2040年時点の不足

  • 必要な介護職員数: 約280万人
  • 現実的な供給見込み数: 約210〜220万人
  • 不足数: 約59〜69万人

この段階では、採用市場における施設間の競争が現在とは比較にならないほど激化します。今は「なんとか回っている」施設も、5〜10年後に同じ採用方法を続けているだけでは成立しなくなるリスクがあります。 介護人手不足の現状と背景 でも詳しく解説していますが、需給ギャップの拡大は個別施設の採用力の問題ではなく、業界全体の構造的課題として捉える必要があります。

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人手不足が深刻化する3つの構造的原因

需要が増えているにもかかわらず、介護業界に人材が集まりにくい理由は、3つの構造的な原因に集約されます。

原因① 少子化による労働力人口の縮小

介護の需要者(高齢者)は増え続ける一方、供給者(労働力)は減り続けています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は2050年に約5,275万人まで減少します。2020年時点の約7,509万人から大幅な減少です。全産業で人材獲得競争が激化するなかで、処遇や労働環境の面で歴史的に不利とされてきた介護職は、採用において構造的に不利な立場に置かれています。

原因② 離職率の高さと定着の難しさ

介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査」によると、介護職員の離職率は約14.4%です。全産業平均(14.0%)と比較してさほど高くないように見えますが、介護職では「採用コスト・教育コスト・現場の疲弊」という負のサイクルが離職ごとに繰り返されます。特に、入職後1年以内の早期離職は施設にとって大きな損失です。育成コストを回収する前に退職されるケースが業界全体の課題となっています。

原因③ 処遇改善の進み方と現場への届き方の差

国は処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算と、段階的に介護職員の給与引き上げを支援してきました。しかし「加算の申請・管理が複雑で、中小規模施設では活用しきれていない」という声も少なくありません。制度上の改善が現場の給与に届くまでのタイムラグが、採用力の弱さに直結しています。

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介護現場でよくある相談:人材確保の壁

ともにケアには、施設長・採用担当者からさまざまな相談が寄せられます。そのなかでも繰り返し聞かれるのが以下のような声です。

「求人を出しても応募が来ない」

ハローワーク・求人サイトに掲載しているが、応募数が激減した。面接まで至る候補者はいるが、採用基準を下げると現場が回らない。採用基準を維持すると採用が止まる。双方向に詰まってしまうという悩みは、特に中小規模施設で多く聞かれます。

「せっかく採用しても3ヶ月で辞めてしまう」

新人指導に割けるリソースが少なく、OJT が場当たり的になります。孤立した新人が退職し、その分の負担が既存スタッフに乗り、またその人が疲弊して辞める、という連鎖が止まらないと相談いただくことがあります。

「外国人介護士を検討したいが、どこから始めればいいかわからない」

特定技能介護や在留資格「介護」という言葉は知っているが、制度が複雑で手が止まる。費用感がわからない。日本語が通じるか心配。こうした不安から第一歩が踏み出せないまま、採用競争で後れを取っているケースが多く見られます。

このような悩みは、施設規模・地域・職種にかかわらず共通しています。問題の本質は「採用チャネルが一本化されていること」にあることが多く、複数の採用手段を組み合わせることで解決の糸口が見えてきます。

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受入れ施設の失敗パターンと回避策

介護業界の将来性を正しく理解し、外国人介護士を含む多様な採用戦略に踏み切った施設でも、準備不足が原因で失敗するケースがあります。よくある失敗パターンとその回避策を整理します。

失敗パターン① 制度理解なく受入れを急いだ

「人手不足だから外国人介護士を採用したい」という動機は正しくても、特定技能介護と在留資格「介護」の違い、登録支援機関の役割、在留期間の上限といった基礎知識なしに受入れを進めると、書類不備や在留資格の更新漏れが生じます。

回避策: まず 特定技能介護の制度概要 を把握し、自施設が受入れ機関として満たすべき要件を確認します。登録支援機関の選定も含め、最低2〜3ヶ月の準備期間を設けることが現実的です。

失敗パターン② 言語サポートを「本人任せ」にした

日本語能力試験 N4 以上を要件とする特定技能介護において、業務上の日本語は問題なくても、申し送りのニュアンスや急変時の報告など「細かい言語判断」で溝が生じることがあります。「ある程度話せるから大丈夫」と油断した結果、ヒヤリハットが続いた施設も実際にあります。

回避策: 入社後3〜6ヶ月は「日本語でのケア報告」の練習機会を定期的に設けます。申し送りテンプレートを整備し、言語的な負担を下げる工夫をすることで、コミュニケーションの質が安定します。

失敗パターン③ 受入れコストの全体像を把握せずに採用した

紹介手数料・登録支援機関への委託費・住居支援など、外国人介護士の受入れには初期費用とランニングコストが発生します。これを把握せずに採用を決定し、後から「想定外のコストがかかった」と後悔するケースがあります。

回避策: 採用前に 受入れ費用の内訳 を確認し、年間・5年間ベースのコストシミュレーションを作成します。完全成功報酬型の紹介サービスを利用することで、採用決定前のコストをゼロに抑える選択肢もあります。 外国人介護士の受入れフロー全体像 も参考にすると、どの段階で何の準備が必要かを把握しやすくなります。

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採用担当者が見落としやすいポイント

介護業界の将来性と人手不足の深刻さを認識していても、採用担当者が実務で見落としがちなポイントがあります。

「今の採用コスト」と「将来の採用コスト」の比較

現在、国内採用チャネルのみで採用しているとします。求人サイトへの掲載費・採用決定時の手数料・早期離職による再採用コストを合計すると、一人当たりの実質コストは表面上の数字より大幅に高くなります。一方、外国人介護士の初期費用は高く見えても、定着率が高ければトータルコストは低くなることがあります。「今の採用費用対効果」を一度棚卸しすることが、戦略変更の判断材料になります。

外国人介護士の定着に必要な「受入れ環境」の整備

外国人介護士の定着率は、受入れ施設の環境整備に大きく左右されます。「多文化対応ができるチームがあるか」「宗教的な食事制限に対応できる食堂か」「住居サポートはあるか」といった点が、入職後の定着に直接影響します。これらは採用を決める前に確認・準備するものです。

処遇改善加算の未活用

多くの施設で、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算が十分に活用されていません。加算を最大化することで、給与水準を上げた状態での採用活動が可能になります。採用担当者は現場管理者・経理部門と連携し、加算の取得状況を定期的に確認することが重要です。

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実務チェックリスト:貴施設の人材確保戦略を今すぐ点検する

以下のチェックリストで、自施設の現状と課題を把握してください。チェックできなかった項目が課題の優先度を示します。

採用チャネルの多様性

  • [ ] ハローワーク・求人サイト以外の採用チャネルを2つ以上持っている
  • [ ] 外国人介護士の採用を具体的に検討したことがある(または実施している)
  • [ ] 施設の採用ページまたは SNS を定期的に更新している

受入れ環境の整備

  • [ ] ルビ付きまたは多言語の業務マニュアルがある
  • [ ] 外国人介護士が相談できる窓口または担当者を決めている
  • [ ] 外国人介護士の住居サポートについて方針が決まっている

処遇・待遇の最適化

  • [ ] 処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の全種類を取得している
  • [ ] 直近1年間の採用コスト(媒体費・手数料・育成費・再採用コスト)を把握している
  • [ ] 離職した職員へのエグジットインタビューを実施している

中長期の採用計画

  • [ ] 3年・5年後の必要人員数を試算したことがある
  • [ ] 自施設が所在する市区町村の2030年・2040年の高齢者人口推計を確認したことがある
  • [ ] 経営層・施設長・採用担当の間で人材確保戦略を共有している

チェックが6つ以下であれば、人材確保の戦略的空白が生じている可能性があります。まずチェックできなかった項目のうち、「受入れ環境の整備」と「採用チャネルの多様化」から着手することを推奨します。

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よくある質問

Q. 介護業界の将来性は本当に高いですか?業界が縮小するリスクはありませんか?

A. 少子高齢化が続く限り、介護サービスの需要が急激に縮小するシナリオは考えにくいです。ただし、個々の施設経営は人材確保・処遇改善・制度対応のどれが欠けても成立しなくなります。業界全体の将来性と、自施設の持続可能性は別軸で評価する必要があります。

Q. 外国人介護士を採用するには、どれくらいの準備期間が必要ですか?

A. 特定技能介護の場合、在留資格変更申請から就労開始まで平均2〜4ヶ月かかります。登録支援機関の選定・住居確保・業務マニュアルの整備を含めると、採用決定から受入れ完了まで最低3〜6ヶ月の準備期間を見込むのが現実的です。在日外国人候補者の場合は、海外採用と比べて手続き期間が短縮できるケースもあります。

Q. 特定技能介護と在留資格「介護」は何が違いますか?

A. 特定技能「介護」は最大5年間(延長不可)の就労が可能で、介護技能評価試験と日本語試験の合格が要件です。在留資格「介護」は介護福祉士国家資格保有者が対象で、在留期間の更新制限がなく、長期的なキャリア形成が可能です。詳しくは 特定技能介護の制度解説 をご参照ください。

Q. 地方の施設でも外国人介護士を採用できますか?

A. 可能です。ただし、住居の確保・交通アクセス・日本語環境など、都市部とは異なる受入れ環境の整備が必要です。在日外国人コミュニティが少ない地域ほど、施設側の生活支援が定着率に直結します。「孤立させない仕組み」をあらかじめ設計しておくことが重要です。

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外国人介護士の受入れをご検討中ですか?

介護業界の将来性は高くても、人材確保の方法論が追いついていない施設が多いのが現状です。「どこから始めればいいかわからない」「費用感が見えない」「日本語に不安がある」というご相談を多くいただきます。

ともにケアを運営するユアブライト株式会社は、17万人超の在日外国人データベースを持つ、介護領域に対応した人材紹介サービスです。特定技能介護・在留資格「介護」の候補者を、完全成功報酬型(初期費用・運用費用 0 円〜)でご紹介しています。採用が決まるまで費用は一切発生しません。

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参考文献

ともにケア編集部
介護の現場に通い、施設長とスタッフの声をそのまま届ける取材チーム。制度よりも"温度"を大切にしています。
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