介護職員不足の最新データ・統計|2040年推計・求人倍率・外国人材の現状と対策

「求人を出しても応募がゼロが続く」「ベテランが抜けてシフトが回らない」という声を、施設長・採用担当者から毎週のように伺います。これは貴施設だけが抱える問題ではありません。介護職員不足は、厚生労働省の推計でも構造的な課題として明示されており、2040年度には現在より約57万人の追加確保が必要とされています。

この記事では、介護職員不足に関する最新データ・統計を施設運営の視点で読み解き、「今、何から手をつけるべきか」を具体的に整理します。数字だけでなく、現場でよくある判断ミスと回避策、外国人介護士の活用を含む実務チェックリストまでを提供します。

この記事でわかること

  • 2026年現在の介護職員不足の規模と有効求人倍率の実態
  • 2040年推計データと、施設が今から備えるべき理由
  • 人手不足の構造的原因(採用難・離職・人口動態)
  • 受入れ施設の失敗パターンと、採用担当が見落としやすいポイント
  • すぐ使える人材確保フローと優先度の判断基準

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最新統計で見る介護職員不足の実態(2026年現在)

厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2023年7月公表)によると、2026年度末に必要な介護職員数は約240万人です。これに対して直近(2021年度末)の介護職員数は約215万人でした。単純計算で、2026年度末までに約25万人を追加確保しなければならない計算になります。

有効求人倍率の面でも、厳しさは際立っています。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、介護サービス職員の有効求人倍率は近年3.5倍から4.0倍前後で推移しており、全産業平均(1.2倍前後)の約3倍水準が続いています。言い換えれば、求職者1人に対して3件以上の求人がある状態です。求人を出して待つだけでは採用に至らない構造が固定化されています。

公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」では、「介護職員が不足している」と感じる事業所の割合が65.3%と、前年度の61.8%からさらに上昇しています。6割超の施設が慢性的な不足感を抱えている現実は、個別の採用努力だけでは解決できない規模感を示しています。

離職率も見逃せない指標です。同調査によると、介護職員(訪問介護員含む)の年間離職率は令和4年度で14.4%です。単純計算で、100人規模の施設なら毎年14人が離職していく計算になります。採用と定着の両輪が同時に回らない限り、人員不足は解消しません。

介護職員不足データを正しく読むには、この「流入(採用)」と「流出(離職)」の両方を把握することが出発点です。有効求人倍率が高い状態では採用自体が困難であり、その上で離職が重なると、施設の人員数は想定より速いペースで減少します。

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2040年問題:施設長が今すぐ把握すべき将来推計

2040年度の介護職員必要数は約272万人と推計されています(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。2021年度実績の約215万人と比較すると、約57万人の追加確保が必要です。

この数字が施設運営にとって意味することを、3点に整理します。

1. 団塊の世代が後期高齢者となり、介護需要が最大化する

1947年から1949年生まれの「団塊の世代」が全員75歳以上になるのは2025年です。その後も要介護認定率の高い後期高齢者人口は増え続け、2040年に向けてサービス需要は拡大します。施設の稼働率を維持するためには、それに見合う職員数の確保が欠かせません。

2. 生産年齢人口(15歳から64歳)が急減する

一方で、現役世代の絶対数は減少の一途をたどっています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2020年から2040年にかけて国内の生産年齢人口は約900万人以上減少する見込みです。介護業界だけでなく全産業で人材争奪が激化するため、賃金・条件・職場環境での差別化なしには採用が成立しなくなります。

3. 現行ペースの採用では2040年の必要数に追いつかない

2021年度末から2040年度にかけて57万人を追加確保するには、毎年約3万人以上の純増が必要です。厚生労働省は処遇改善・ICT活用・外国人材受入れを三本柱として推進していますが、いずれも効果が出るまでに一定の時間がかかります。「2026年は余裕があるから2030年に考える」という先送りが許されない段階に入っています。

図解:介護職員の必要数と実績の推移イメージ(2021年から2040年)

  • 2021年度末実績:約215万人
  • 2026年度末必要数:約240万人(不足見込み:約25万人)
  • 2040年度必要数:約272万人(不足見込み:約57万人以上)

なお、この「不足見込み」は現行の就業者数がそのまま維持された場合の推計です。離職による減少を加味すると、実際に確保が必要な採用数はさらに大きくなります。

介護人手不足の全体像と対策の優先順位 の記事では、こうした推計データを受けて施設がとるべきアクションをより詳しく解説しています。

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不足が深刻化する3つの構造的背景

介護職員不足データを読むうえで、「なぜここまで解消されないのか」という構造的背景の理解が欠かせません。表面的な採用強化だけでは追いつかない理由がここにあります。

背景1:処遇水準と業務の重さのミスマッチ

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、介護職の月額賃金は全産業平均と比較して低い水準で推移してきました。2019年以降の処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の積み重ねにより改善傾向にあるものの、「夜勤・休日対応・身体介護の重さ」に見合う水準とは言いにくい面があります。介護労働安定センターの調査では、求職者が介護職を回避する最大の理由として「給与の低さ」が一貫して上位に挙がっています。

背景2:離職率の構造的な高止まり

入職後3年以内の離職が多い介護業界では、採用コストを回収する前に人員が欠ける悪循環が生じています。介護労働安定センターの調査によると、離職理由の上位に「職場の人間関係」「法人・事業所の理念や運営への不満」が挙がっています。処遇だけでなく、職場環境・マネジメントの問題が離職を後押ししている構造であり、採用強化だけでは解消しません。

背景3:若年層の介護職参入が緩慢

少子化の影響で若年層(15歳から34歳)の絶対数が減っているなかで、「介護は体力的に大変」「キャリアが見えない」というイメージが参入の壁になっています。この構造は短期の求人広告では変えられず、キャリアパスの明示・資格取得支援・職場環境の改善といった中長期の投資が必要です。

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介護現場でよくある相談

弊社(ユアブライト株式会社)には、全国の介護施設から以下のような相談が毎週届きます。いずれも、介護職員不足データが示す数字の背景にある、現場の具体的な悩みです。

「ハローワークに出しても応募ゼロが続く。どうすればよいですか?」

有効求人倍率3.5倍超の市場では、ハローワーク単独では母集団形成が困難です。介護専門の求人媒体・人材紹介・外国人材という複数チャネルを並行して動かすことを推奨しています。

「採用したが3か月で辞めてしまった。採用コストがすべて無駄になった」

離職率14.4%の実態通り、採用直後の離職は業界全体で頻発しています。「なぜこの施設を選んだか」を入職前に言語化できていない候補者は、入職後のギャップが大きくなりがちです。選考段階での施設文化・業務内容の透明な開示が、定着率を左右します。

「外国人介護士を受け入れたいが、何から始めればいいかわからない」

特定技能「介護」の在留者数は2025年10月末時点で約55,700人(出入国在留管理庁)に達しており、制度の活用が現実的な選択肢となっています。ただし制度・在留資格・支援機関の選定など、手続きは複数ステップにまたがります。 特定技能介護の制度概要と受入れ手順 を参照すると全体像が把握しやすいです。

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受入れ施設の失敗パターンと回避策

介護職員不足への対応策として外国人介護士の受入れを検討する施設が増えています。 外国人介護士受入れの実態 でも詳述していますが、ここでは現場で特に多い3つの失敗パターンと回避策を整理します。

失敗パターン1:在留資格の種類を理解せずに採用

特定技能「介護」と在留資格「介護」(介護福祉士)を混同した事例

  • 何が起きたか: 採用時に「介護資格あり」と聞いていたが、実際は特定技能(試験合格)であり、介護福祉士(国家資格)ではなかった。施設が期待していたスキルレベルと実態が乖離した。
  • 回避策: 面接・選考時に在留資格の種類・保有資格・実務経験年数を書面で確認する。特定技能と介護福祉士では業務範囲・キャリアパス・在留期間が異なることを事前に把握しておく。

失敗パターン2:日本語レベルの確認が不十分

N4水準の候補者をN3相当として採用した事例

  • 何が起きたか: 「N3以上」を採用条件にしていたが、提示された証明書が古く、現在のスキルが面接で確認できていなかった。入職後の申し送りで情報が正確に伝わらず、ヒヤリハットが発生した。
  • 回避策: 面接の一部を日本語のみで実施し、申し送りに相当する短文を試験的に書いてもらう。資格証明書の取得年月も確認する。

失敗パターン3:登録支援機関の選定をコストだけで判断

支援実績の少ない機関を選んだ事例

  • 何が起きたか: 月次支援費が安い機関を選んだが、母国語対応スタッフが不在で、外国人介護士が職場トラブルを相談できずに退職。採用・在留資格手続きのコストがすべて無駄になった。
  • 回避策: 登録支援機関の選定では「月額費用」だけでなく「対応言語」「緊急連絡体制」「支援実績(業種・国籍別)」を比較する。 受入れコストの内訳と支援機関の選び方 も参考にしてください。

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採用担当者が見落としやすいポイント

介護職員不足データを確認した後、「すぐに外国人材を採用しよう」と動く施設は少なくありません。しかし、採用前に整備すべき社内体制が抜けていると、採用後に問題が集中します。

見落としポイント1:受入れ体制(メンター・OJT担当)の未整備

外国人介護士が入職直後に「誰に何を聞けばいいかわからない」状況に置かれると、孤立感から早期離職につながります。OJTの担当者(メンター)を事前に決め、週次の面談を義務付けるだけで定着率が大きく変わります。

見落としポイント2:シフト設計で「日本語対応できる先輩」が不在になる帯

夜勤や早朝帯に外国人介護士が1人だけになるシフトは、コミュニケーション上のリスクが高まります。入職後6か月は「日本語対応できる職員が同じ時間帯にいる」シフト設計を意識的に行ってください。

見落としポイント3:処遇改善加算の申請状況の確認

処遇改善加算・特定処遇改善加算を算定していない施設では、給与水準が他施設より低くなりやすく、外国人介護士を含む全職員の採用・定着が難しくなります。加算の申請状況は採用条件に直結するため、人事担当者は経営層と加算取得状況を定期的に確認してください。

見落としポイント4:在留カード有効期限の一元管理

特定技能の在留期間は1年・6か月・4か月の単位で更新が必要です(通算上限5年)。更新漏れは不法就労につながる重大リスクです。在留カードの有効期限を一覧管理するシートを整備し、更新3か月前にはアラートが出る仕組みを整えてください。

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実務チェックリスト:施設長がすぐ使える人材確保フロー

介護職員不足への対応は「採用チャネルを増やす」だけでは不十分です。以下のチェックリストで貴施設の現状と優先課題を確認してください。

Step 1:現状把握(毎月確認)

  • 現在の職員数は法定基準人員を満たしているか
  • 有給休暇取得率・残業時間は直近3か月で悪化していないか
  • 退職意向のある職員を事前に把握しているか
  • 処遇改善加算の申請・算定状況は最新か

Step 2:採用チャネルの多様化(四半期ごとに見直し)

  • ハローワーク・介護専門求人媒体(Indeed、介護求人ナビ等)を並行活用しているか
  • 成功報酬型の人材紹介会社との契約はあるか
  • 特定技能介護・在留資格「介護」の外国人介護士採用を検討したことがあるか
  • 技能実習修了者の特定技能移行(ステップアップ採用)を検討しているか

Step 3:定着支援の仕組み(入職後3か月・6か月で確認)

  • 入職後1か月以内に個別面談(業務・生活・対人関係のヒアリング)を実施しているか
  • 夜勤・早朝帯に「孤立」するシフトになっていないか
  • 外国人介護士に対して、母国語サポートの窓口が確保されているか

Step 4:中長期の採用計画(年1回以上)

  • 2年から3年後の職員数目標と現状の差分を数値で把握しているか
  • EPA・特定技能・技能実習のどの制度が自施設の規模・体制に合うか比較検討したか
  • 介護職員不足の解消に向けた厚生労働省の 高齢者介護施策ページ で最新の支援策を確認しているか

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よくある質問(FAQ)

Q. 介護職員の有効求人倍率3.5倍以上とは、具体的にどういう意味ですか?

A. 求職者1人に対して3.5件以上の求人票がある状態です。求人を出しても競合施設にも同じ候補者が流れるため、給与・待遇・職場環境で差別化できなければ採用が困難な市場です。

Q. 外国人介護士を採用すると、日本人職員の採用が難しくなりますか?

A. 両者は競合しません。外国人介護士は国内の日本人求職者とは別のチャネルから採用するため、日本人採用の母集団に影響を与えません。むしろ人員が充足されることで残業・休日出勤が減り、日本人職員の定着率が上がった事例も多くあります。

Q. 特定技能介護の在留期間が終わったら、どうなりますか?

A. 特定技能1号の通算上限は5年です。介護福祉士の国家資格を取得すると在留資格「介護」に変更でき、在留期限の上限がなくなります。長期定着を視野に入れるなら、入職後の国家試験受験を支援する体制づくりが重要です。

Q. 介護職員不足データを施設の採用計画にどう活かせばよいですか?

A. 厚生労働省「 介護給付費等実態統計 」や介護労働安定センターの年次調査は、地域別・職種別の不足状況を示す一次情報です。全国平均の有効求人倍率に加えて、貴施設の所在する都道府県の求人倍率・賃金水準と比較することで、自施設の競争上の強み・弱みが明確になります。

Q. 小規模(定員30人以下)の施設でも外国人介護士を受け入れられますか?

A. 制度上の受入れ規模制限はありません。ただし小規模施設では1人の外国人介護士が孤立しやすいリスクがあります。複数名の同時採用か、近隣施設と連携して日本語勉強会・生活支援を共同で行う取り組みが定着率の向上に有効です。

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外国人介護士の受入れを検討中ですか?

「制度はわかったが、自施設に合う人材がイメージできない」「費用感が不透明」というご相談を多くいただきます。ともにケアを運営するユアブライト株式会社では、17万人超の在日外国人データベースから、特定技能介護・在留資格「介護」の即戦力人材を紹介しています。初期費用・運用費用は0円から、内定時のみ費用が発生する完全成功報酬型です。

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参考文献

  • 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2023年7月)
  • 公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2024年)
  • 厚生労働省「介護給付費等実態統計」(令和4年度)
  • 厚生労働省「一般職業紹介状況」(各月公表)
  • 出入国在留管理庁「在留外国人統計」(2025年10月末時点)
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(令和5年推計)
ともにケア編集部
介護の現場に通い、施設長とスタッフの声をそのまま届ける取材チーム。制度よりも"温度"を大切にしています。
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